国産ウラン、現実味 低コストで海水から採取 原子力機構 2009.6.28 19:51
原子力発電の燃料となるウランを海水から採取する技術が実現に近づいている。日本原子力研究開発機構は、最大の課題である採取コストをウランの実勢価格の3倍弱に引き下げる技術を確立した。さらにコストダウンを進め、平成29年の実用化を目指す。日本には年間8千トンのウラン需要があるが、全量を海外に依存している。実現すれば、国産ウランに道を開き、日本のエネルギー安全保障にとっても朗報となる。
ウランは海水1トンに3・3ミリグラムの割合で溶け込んでいる。海水中のウランを合計すると、ウラン鉱山の埋蔵量の1千倍にあたる45億トンに上るとみられている。
同機構は、放射線を当てることで素材にさまざまな機能を付加するグラフト重合法の応用を進めてきた。その結果、布状のポリエチレン製捕集材を海中に漂わせるだけで、ウランを取り出す技術を確立した。捕集材1キログラム当たり4グラムのウランを採取できる。
最大の課題であるコストは捕集材を8回繰り返して使うことで低減し、ウラン1キログラム当たり3万2000円程度に引き下げた。ウラン価格は1キログラム=1万3千円程度で推移しており、採取コストは3倍弱。耐久性の面で、これ以上、捕集材を繰り返して使えないが、捕集材の改良などでさらにコストを引き下げられるとみている。同機構では90億円の費用をかけ、来年からの5年間で100キログラムのウラン採取を目指す実証実験を沖縄で行う計画だ。
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【グラフト重合法】繊維や布などの素材に放射線を当てることで、接ぎ木(グラフト)のように、さまざまな性質を付け加える技術。特定の有害物質を付着することもでき、クリーンルーム用のケミカルフィルターなどがこの技術でつくられる。日本原子力研究開発機構はポリエチレン素材にウランを吸着する性質を持つアミドキシム基と呼ばれる機能を付け加えた。
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